私の夫は人生の大半を飲食の職に捧げてきました。普通のサラリーマンならもう定年の年数です。
そんなに働いてきたのに、彼はいつも言います。「自分は料理人ではない」と。その理由はただ一つ。「すごい料理人が世の中にはたくさんいる」「だから自分のことを料理人と呼ぶのはおこがましい」と。
それでも彼はいつの時代も料理に関しては徹底的でした。一つのものにハマるとのめり込み方が半端ないんです。
ラーメンはその中のほんの一部です。今まで様々なラーメンを作ってきました。シンプルな志那そばから、韓国、台湾ラーメンに至るまで。
東京で営んでいた居酒屋ではたまにお勧めで提供するカレーラーメンとオロチョンラーメンが人気でした。
そして、今、彼は豚骨スープにのめりこんでいます。
何がどうしてそうなったのか、もう記憶にないですが、気が付いたらそうなっていました。
数々の試作を繰り返し、自分の味を見つけたようです。宮古そばとの相性も抜群!!その名も、
「とんこつ醤油が宮古そばに恋をした」
限定ランチにてお披露目いたします。3枚肉を使ったトロトロチャーシューもどうぞご賞味あれ。
と言うわけで、夜のお任せコースは暫くお休みしております。皆様にはご迷惑をおかけしており、申し訳ございません。彼の熱意がまたそちらに向かったらきっと再開すると思います。今はそっと彼のとんこつへの愛を暖かく見守っていてください、ませ。
静佳日記 **********
暫くの間、朝のウオーキングができていない。
あの朝日を見に行ったのはいつのことだったろう。写真を見返しながらその時のことを思い出そうとしている。
その日は時間に余裕があった。いつものようにてっぺんを目指し、宿から10分ほど歩く。坂道がきつく感じられるようになったのは、年のせいだとは思いたくない。
ちょうどいいタイミングでお日様が昇ろうとしていた。
何度来てもこの景色はいい。いつも誰もいないので独り占めの空。太陽が頭を見せ始めた。赤ちゃんの誕生を連想させる瞬間。私は自分の出産を見たことはないが、夫は第一子の誕生の一部始終を目に焼きつけている。意外と男ってやつは気が弱いらしく、二人目の時は立ち合いを辞退した。
赤ちゃんがこの世界に頭を覗かせた時よりもはるかにゆっくりだが、その真ん丸なオレンジ色の憎い奴は、瞬く間に全貌をお披露目する。
そして、電波塔の上にちょこんと乗っかった。
静かにその様子を眺めていると、なぜだかパワーがみなぎってくるように思えるから不思議だ。よし、今日も一日を大切に過ごそう。
振り返って、宿の廻りの海を見下ろす。私のお城は小さすぎて見えない。
そこからの歩きは、どこもかしこもまるで絵画の様な景色を楽しむことができる。
幹の形が魅力的な樹を眺め(あ、この樹、あれだね)、
カンガルーの赤ちゃん!?に、ほっこりし、
静佳ビーチを眺めて帰る。
ただそれだけの繰り返しなのに、また行きたくなるのは何故だろう。この朝の儀式があるのとないのとでは一日がまるで違ってくる。
お土産に積んだ花を飾って、
夫の作ったパンを試食。
もう、十分じゃないの?
と思うけれど、もっともっと!!!が止まらない彼は、もっと美味しいパンを目指して毎日、粉と戦っている。お日様のパワーをもらっていない日陰人間が、どうしてこんなにもバイタリティーがあるのだろう?
よ~~~~し!!私も頑張るぞ!!!!